万人に愛される、とはこのことか。笠岡市新山にある古民家カフェ。【とくらかふぇ】
百聞は一見にしかず、とはよく言ったもので。
店長の安希乃さんのこの笑顔を見れば、地域の方がこのカフェに集まってくる理由が、おのずとわかってしまいます。
笠岡市新山にある、明治期の古民家「土倉邸」を改装した古民家カフェ、「とくらかふぇ」。2016年10月下旬にオープンしてまだ3か月ほどの新しいお店です。営業は毎週金、土、日の10時~4時。金曜日のお昼に伺いましたが、平日にもかかわらずほぼ満席で、次から次にお客さんが来ていました。
落ち着ける座卓。
床に座るのが苦手な方用に、お座敷用の低い椅子もたくさん用意されています。細かい心遣いが嬉しい。
座卓の上には瑞々しい苔玉。近所の方が作っているそうです。
11時から14時まで、週替わりのランチが食べられます。この日のメニューは「二種のコロッケ定食」「鮭の幽庵焼き定食」「オムライス デミソース」の3種類でした。ランチメニューは毎週「庄屋屋敷とくら / とくらかふぇ」のfacebookページで更新されます。
二種のコロッケ定食をいただきました。厚みがあってほくほくのポテトコロッケと、濃厚で具だくさんのクリームコロッケ。からっと揚がっていて、下味がしっかりついているので、ソースをかけずにそのままでもおいしい。副菜の胡麻どうふも、食べてびっくり!ねっとりしていて、ごまの風味がぶわっと広がります。野菜のあんかけは、優しくてほんのり甘い薄味のあんが地元野菜のうまみを引き出しています。お米も自ら栽培した無農薬米。説明するの難しいけど、とにかく滋味あふれるおいしさで体が喜んでるのを感じる!
味噌汁の味噌は、キッチン奥の蔵で仕込んでいる手作りのはと麦味噌(ただし、今は前年に仕込んだ味噌が切れてしまったので、一時的に市販のお味噌を使っているそうです)。作っているのは地域の婦人部の方々。みんなで集まってわいわいと作業するのがまた楽しそう。
はと麦味噌、鋭意発酵中。
はと麦味噌?はと麦茶はよく聞くけど、はと麦味噌って普通の味噌と何が違うの?
この素朴な疑問に、隣の座卓でランチを召し上がっていた、常連さんのみっちゃんが教えてくれました。新山で50年も子供たちにそろばんを教え続け、この味噌作りにも、もう40年近く携わっているそう。
「はと麦味噌はな、とにかく体にええんよ。ねばいんじゃけ」
ねばい?ねばっこいということ?
「麦にな、ふんどしゆうて、真ん中に線がはいっとんよ」
ふんどし?
なるほど、麦には真ん中に線が入っていますが、あれは「ふんどし」というのか。初めて知った...
「これを炊飯器で炊いてな、発酵器で作った麹と混ぜて、圧力鍋で炊いた大豆と合わせて半年くらい寝かすんよ。減塩でな。じゃけ、ものすご体にええんよ。ちょっと裏行って味噌作っとるん見といで」
そんなわけで、蔵を見せていただきました。こういうのを直に見ると、自分でも味噌を仕込んでみたくなります。
とくらかふぇのある「庄屋屋敷とくら」には、ゲストハウスも併設されています。両方を運営するやっさんと安希乃さんの井口夫妻は、2016年春に地域おこし協力隊として東京から笠岡に移住してきました。お店が落ち着いたところで、ちょっとお話を伺ってみました。
――もともと、こういった古民家カフェをやりたくて笠岡に来られたのでしょうか?
安希乃さん:
「いえ、そういうわけではなく。なんとなく、カフェや農家民泊も考えてはいましたが、もともと田舎で農業をして自分たちの食べるものを作って、自分たちの暮らしを自分たちで作りたいと思っていました。いくつか空き家を見せてもらったりしたなかで、ここはその時すでに改修中だったので、何かをするというイメージがつきやすかったんです」
やっさん:
「ここは自治会と一緒に運営しています。この辺りには食事をする場所が全然ないので、地元の食材を使った料理を提供できる場所を作れば、喜んでいただけるのではないかと思ってカフェをやることにしました。その前に、農業体験ができるゲストハウスも始めていたんですが、カフェを始めてからは忙しくなって、今はカフェの運営がメインです。当初は、こんなにたくさんお客さんを入れる予定ではなかったんですけど」
――いやー、ここにはお客さん来ちゃいますよ。ゲストハウスもすごく居心地よさそうですね。どんなお客さんが来られますか?
やっさん:
「特に宣伝もしていないのですが、民泊の予約サイトや、有機農業に興味のある人が登録できるWWOOF(ウーフ)経由でいろいろな方がいらっしゃいます。WWOOFでは外国のお客様が週1ペースで来られますね。ただ、カフェが忙しくなってなかなか農業を手伝ってもらえない状況なので、今はWWOOFは止めています。でも地域交流を考えると、こういう形で外国の方に笠岡に来てもらうのはいい方法だと思います」
お話を伺っている間に、隣町にある矢掛高校の生徒さんが二人、お手伝いにやってきました。
安希乃さん:
「地域活動に参加したいという高校生が、お手伝いに来てくれるんです。にんじんがたくさんあるから、今日はにんじんケーキを焼いてもらおうかな。カフェの営業終了後に、ここで寺子屋も開いているんですよ、シェアスペースを使って。岡山大学の学生さんが、小中高生を相手に考える力を伸ばせるような話をしてくれています。さっき来た高校生も、その一期生なんです」
地域の方々の交流拠点として、世代を問わずご近所さんが次々と集まってくる「とくらかふぇ」。みんなに楽しく交流してもらえるようにと、井口夫妻はさまざまなイベントの企画や、人と人をつなぐ情報発信も精力的に行っており、地域新聞を発行するほか、新山の魅力的な人を紹介する「にいやま魅力人」をWebで発信しています。
味噌作りを教えてくれたみっちゃん曰く「ほんとにねえ、写真も文章も上手にまとめてくれるんよー」
この日にいらした矢掛高校の生徒さんの活動も、庄屋屋敷とくらのHPで詳しく紹介されています。
農業、ゲストハウスとカフェの運営、情報発信、イベント開催、とさまざまな取り組みを続けているのでめちゃくちゃ忙しそうに思えるのですが、ご夫妻はお二人ともそんな忙しさを全く感じさせない、ふんわりとした雰囲気で、にこにことお客さんたちと会話を交わします。地域の方々は、そんなお二人がかわいくて仕方がない模様。
ところで、冒頭の写真の安希乃さんがしているマフラー、とてもかわいい...
「これ、自分で織ったものです。機織り機があるので、ご希望に応じて機織りワークショップもしてるんですよ」
――え、機織り機もあるんですね。ここにもともとあったものですか?
「いえ、自分で買って持っていたもので、東京から持ってきました。昔の機織り機みたいに大きなものではなくて、もうちょっとコンパクトなんですけど。割と簡単に織れますよ。実は、一番最初に織ったのがこのマフラーなんですけど、一番よく使っているかも」
機織り機もある。そして...
この素朴な疑問に、隣の座卓でランチを召し上がっていた、常連さんのみっちゃんが教えてくれました。新山で50年も子供たちにそろばんを教え続け、この味噌作りにも、もう40年近く携わっているそう。
「はと麦味噌はな、とにかく体にええんよ。ねばいんじゃけ」
ねばい?ねばっこいということ?
「麦にな、ふんどしゆうて、真ん中に線がはいっとんよ」
ふんどし?
なるほど、麦には真ん中に線が入っていますが、あれは「ふんどし」というのか。初めて知った...
「これを炊飯器で炊いてな、発酵器で作った麹と混ぜて、圧力鍋で炊いた大豆と合わせて半年くらい寝かすんよ。減塩でな。じゃけ、ものすご体にええんよ。ちょっと裏行って味噌作っとるん見といで」
そんなわけで、蔵を見せていただきました。こういうのを直に見ると、自分でも味噌を仕込んでみたくなります。
お庭もすてき。
とくらかふぇのある「庄屋屋敷とくら」には、ゲストハウスも併設されています。両方を運営するやっさんと安希乃さんの井口夫妻は、2016年春に地域おこし協力隊として東京から笠岡に移住してきました。お店が落ち着いたところで、ちょっとお話を伺ってみました。
――もともと、こういった古民家カフェをやりたくて笠岡に来られたのでしょうか?
安希乃さん:
「いえ、そういうわけではなく。なんとなく、カフェや農家民泊も考えてはいましたが、もともと田舎で農業をして自分たちの食べるものを作って、自分たちの暮らしを自分たちで作りたいと思っていました。いくつか空き家を見せてもらったりしたなかで、ここはその時すでに改修中だったので、何かをするというイメージがつきやすかったんです」
やっさん:
「ここは自治会と一緒に運営しています。この辺りには食事をする場所が全然ないので、地元の食材を使った料理を提供できる場所を作れば、喜んでいただけるのではないかと思ってカフェをやることにしました。その前に、農業体験ができるゲストハウスも始めていたんですが、カフェを始めてからは忙しくなって、今はカフェの運営がメインです。当初は、こんなにたくさんお客さんを入れる予定ではなかったんですけど」
――いやー、ここにはお客さん来ちゃいますよ。ゲストハウスもすごく居心地よさそうですね。どんなお客さんが来られますか?
やっさん:
「特に宣伝もしていないのですが、民泊の予約サイトや、有機農業に興味のある人が登録できるWWOOF(ウーフ)経由でいろいろな方がいらっしゃいます。WWOOFでは外国のお客様が週1ペースで来られますね。ただ、カフェが忙しくなってなかなか農業を手伝ってもらえない状況なので、今はWWOOFは止めています。でも地域交流を考えると、こういう形で外国の方に笠岡に来てもらうのはいい方法だと思います」
お話を伺っている間に、隣町にある矢掛高校の生徒さんが二人、お手伝いにやってきました。
安希乃さん:
「地域活動に参加したいという高校生が、お手伝いに来てくれるんです。にんじんがたくさんあるから、今日はにんじんケーキを焼いてもらおうかな。カフェの営業終了後に、ここで寺子屋も開いているんですよ、シェアスペースを使って。岡山大学の学生さんが、小中高生を相手に考える力を伸ばせるような話をしてくれています。さっき来た高校生も、その一期生なんです」
地域の方々の交流拠点として、世代を問わずご近所さんが次々と集まってくる「とくらかふぇ」。みんなに楽しく交流してもらえるようにと、井口夫妻はさまざまなイベントの企画や、人と人をつなぐ情報発信も精力的に行っており、地域新聞を発行するほか、新山の魅力的な人を紹介する「にいやま魅力人」をWebで発信しています。
味噌作りを教えてくれたみっちゃん曰く「ほんとにねえ、写真も文章も上手にまとめてくれるんよー」
この日にいらした矢掛高校の生徒さんの活動も、庄屋屋敷とくらのHPで詳しく紹介されています。
農業、ゲストハウスとカフェの運営、情報発信、イベント開催、とさまざまな取り組みを続けているのでめちゃくちゃ忙しそうに思えるのですが、ご夫妻はお二人ともそんな忙しさを全く感じさせない、ふんわりとした雰囲気で、にこにことお客さんたちと会話を交わします。地域の方々は、そんなお二人がかわいくて仕方がない模様。
ところで、冒頭の写真の安希乃さんがしているマフラー、とてもかわいい...
「これ、自分で織ったものです。機織り機があるので、ご希望に応じて機織りワークショップもしてるんですよ」
――え、機織り機もあるんですね。ここにもともとあったものですか?
「いえ、自分で買って持っていたもので、東京から持ってきました。昔の機織り機みたいに大きなものではなくて、もうちょっとコンパクトなんですけど。割と簡単に織れますよ。実は、一番最初に織ったのがこのマフラーなんですけど、一番よく使っているかも」
機織り機もある。そして...
外にはなんと手作りのピザ窯が!
このピザ窯を使って、月に二回程度ピザ焼き体験イベントを開催しているそうです。かなり本格的な窯だから、これで焼けば間違いなくおいしい!私も焼きたい!ピザ焼き体験は完全予約制なので、ピザを焼く様子や日程、申し込みに関しては、とくらHPのこちらをご覧になって予約してくださいね。
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