「桃太郎」のお話はここから生まれた?吉備地方に伝わる「温羅伝説」ゆかりの地を巡る。

公開日: 2017年6月7日水曜日 倉敷市 総社市

突然ですが連想ゲームです。「岡山」といえば何が思い浮かびますか?

「桃太郎」と答える方も多いのではないでしょうか?JR岡山駅の前には、どーんと桃太郎の銅像も建っていますし。

岡山駅前の桃太郎像は、鬼が島のモデルとされる香川県の女木島を望んでいるそうです。桃太郎のルーツとされている伝説やゆかりの地は、香川県、愛知県、奈良県など日本各地にいくつかあります。

かつて吉備国と呼ばれていた岡山市と総社市にも、桃太郎のルーツではないかと言われる伝説があります。それは「温羅(うら)伝説」。

温羅伝説とは。温羅伝説にはいくつか種類がありますが、よく知られているものをかいつまんでご紹介しますと...

昔、百済の皇子と名乗る温羅が吉備の地にやってきました。温羅は身長4メートル以上もある赤い髪の大男で、山の上に城を築いて(鬼ノ城)、悪事の限りを尽くします。そこで朝廷は五十狭芹彦命(ひこいさせりひこのみこと)を派遣し、温羅を討伐しようとします。

温羅が立てこもったとされる古代山城、鬼ノ城。西門が復元されています。

命は城に向かって何度も矢を放ちますが、温羅は石を投げて矢をすべて落としてしまいます(矢喰宮)。そこで命は、一度に2本の矢を放ちました。すると1本はいつものように落とされてしまいましたが、1本は温羅の左目に突き刺さりました。温羅は雉に姿を変え、山中に逃げ込みます。命は鷹となって温羅を探しますが、見つかりそうになった温羅は自分の目から流れた血で真っ赤になった川(血吸川)に、鯉となって飛びこみます。すると命は鵜になって鯉に噛みつき(鯉喰神社)、温羅を退治します。

命は温羅の首を地中に埋めましたが、それでも温羅は何年もうなり続けました。ある夜、命の夢枕に温羅が立ち、自分の妻に供物を炊かせよ、と告げます。そこでこの神事(吉備津神社の鳴釜神事)をとり行ったところ、うなり声は収まりました。五十狭芹彦命は吉備津彦命として吉備津神社に祀られています。
吉備津神社 鬼退治神話

一方で、温羅が「鬼」とされている伝説に対し、温羅は吉備の地に百済の製鉄や造船など最新の技術を伝え、吉備国の発展に大いに貢献したとされるお話もあります。
うらじゃ振興会 うらじゃの話

文中でリンクを張ってご紹介したところをはじめ、岡山市、総社市、倉敷市には、この伝説にちなんだ地名や旧跡がたくさん残っています。どこかおどろおどろしい地名にも興味を引かれ、温羅伝説ゆかりの地を巡ってみようと思い立ちました。

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総社市では、事前予約をすればボランティア観光ガイドの方に吉備路の見どころを案内していただけます。いろいろおもしろいお話を伺えそうなので、温羅を訪ねるコースのガイドをお願いしました。
吉備路ボランティア観光ガイド

まずは吉備津神社から。
吉備の中山のふもと、木々に覆われた佇まいが神秘的。

岡山県の国宝建造物は2件ありますが、そのうちの1件がこの吉備津神社の本殿です(もう1件は備前市の旧閑谷学校)。本殿は比翼入母屋造りという非常に珍しい建築様式で、二羽の鳥が寄り添って飛ぶ姿を現しているそうです。結婚式を挙げるのにぴったりですね。建坪は京都の八坂神社に次いで日本で2番目の広さがあります。


本殿の後ろ側には、小さな扉が設けられています。本来、ご神体が鎮座ましましているべき本殿の奥に扉?通常、本殿のこの位置に扉はないので、非常に珍しい構造です。ここに扉があるのは、本殿の後方にある飯山(いのやま)を拝むためだとされています。


約400メートルもある回廊。この途中に、釜の鳴る音で吉凶を占うという、鳴釜神事を行う御釜殿があります。

入り口には矢置石があります。吉備津彦命はこの石の上に矢を置いたと言われています。

荘厳な神社なのですが、学問の神様のお社は、いきなり雰囲気が変わります。

祈願トンネル。ものすごく励まされている...

こ、この結びみくじは...

続いて、吉備津彦命が温羅の攻撃をよけるために石を楯にしたといわれる、楯築遺跡を訪れました。日本最大級の弥生墳丘墓で、丘の上には円状に巨石が置かれています。プチストーンヘンジといった趣。古代の祭祀場であったかもしれないと言われています。


次に向かったのは、吉備津彦が温羅に噛みついた場所と言われる鯉喰神社。


住宅街の中にひっそりとたたずむ小さな神社です。ご案内いただいたボランティアガイドさんからクイズをいただきました。ここのご神体はなんだと思いますか?ヒントは神社の名前にあり。

鯉?
鯉を喰う?
吉備津彦は噛みついたけど、普通は何が必要?
...まな板の上の鯉

なんと、
まな板と包丁!
だそうです。おもしろいですね...


参道脇には2体の唐獅子が置かれているのですが、うち1体が平成27年に盗難にあってしまったそうです。しかし売り飛ばそうとしていたところから足がつき、無事戻ってきたとか。よかったよかった。そして今では「無事かえる獅子」として、参拝者を見守ってくれています。よく見ると、足の下や台座ががっちりセメントで固められていますね。

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このあと矢喰宮や鬼ノ城にも行きたかったのですが、見どころがありすぎて1日では回りきれず、改めて出直すことにしました...鬼ノ城だけで1日かかりそうです。

総社市から岡山市にかけては、日本で唯一、五重塔がある国分寺である備中国分寺や、日本で4番目に大きな古墳(立入ができる古墳としては日本最大)である造山古墳などを巡りながら吉備津神社まで続く吉備路サイクリングロードが整備されています。駅前にはレンタサイクルがありますし、起伏のない自転車専用路なので、爽快なサイクリングが気軽に楽しめます。

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最後に、温羅伝説には関係ないのですが、吉備津神社の近くにある「鼻ぐり塚」をご紹介します。車で移動中に看板を見かけて、なかなかインパクトのある名称なので、なんだろうと思っていたのですが...

これです。

ごまんと積まれた、プラスチックチューブのようなもの。これは、牛の鼻につけられていた鼻ぐり(鼻輪)です。全国からここに鼻ぐりが奉納され、人間のために働いたり、食べられたりした牛や豚などの家畜の供養をしている塚なのです。もともとは横穴式古墳で、馬頭観音の背後に見えるのがその石室です。

豚さんのなんともいえない表情...

塚に向かって深々とお辞儀をし、お礼を言ってきました。

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吉備路一帯には大小さまざまな数千基もの古墳があるとされています。温羅伝説にしても、温羅が鬼とされていたり、吉備の大恩人とされていたり、見方が変わるとまったく違う物語になるのがおもしろいですね。裏話なども交えて、きめ細かく案内をしてくださったボランティアガイドさんのおかげで、ますます興味が深まりました。

高梁市や井原市をはじめ、備中地域では、国の重要無形民俗文化財に指定されている「備中神楽」が郷土芸能として親しまれています。備中神楽には、他の神楽にはない「吉備津」という演目があるのですが、これは温羅伝説がもとになっています。アクションあり、笑いありの、見ていてとてもおもしろい神楽ですので、これを見て吉備路巡りをすれば、各スポットがいっそう身近に感じられますよ。


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