岡山県で最南端の島、六島に行ってきた。

公開日: 2017年2月27日月曜日 笠岡市

瀬戸内の島がキている。

直島はおしゃれ女子のハートを撃ち抜き、瀬戸内国際芸術祭には全世界から観光客が殺到する。青島、男木島などのいわゆる「猫島」、「うさぎ島」として知られる大野久島など、突如注目を集めるようになった島も多数ある。穏やかな海にぽこぽこと島が浮かぶ風景は、どこを切り取っても絵になる。瀬戸内の島めぐり本もここ数年で増えてきた。素敵な島の多い瀬戸内エリア。

でも島に行く目的が「のんびりしたーい」なら、定期便に乗れば比較的気軽にぷらっと行けて、島内での交通手段を気にすることもなく、迷う心配もせず徒歩で気軽に回れ、観光客がおらず、昔ながらの島の人々の生活を間近に感じられる、あえて「特になにもない島」に行くのもええんでない?

ありますよ、そんな場所。

転がったビールケースの差し色が効いている。

岡山県の最南端にある、笠岡諸島の「六島」。1月から2月にかけて咲き誇る水仙で知られてはおりますが、地元の方でも、行ったことない、という方は結構多いのではないでしょうか。

戦後には1000人以上いたという島民の数は、現在70人弱。島内にあるお店は商店が1店のみ。でも、ここでは六島まちづくり協議会が大学生のインターン生とともに持続可能な島づくりのために数々のプロジェクトに取り組んでいて、昨年11月には古い教会を改装したゲストハウスがオープン!

ということで、小さな島なのに、ちゃんと泊まるところもあります。
島小屋さん。
六島には2つの港、堪江港と前浦港がありますが、島小屋さんは堪江港から歩いてすぐ。(でも、乗り過ごしても安心。前浦港からも徒歩10分足らずで着きますから)


まずは荷物を置いて、島の散策にGO!堪江地区のメインストリートを歩いて、灯台を目指しましょう。まだ、ギリギリ水仙も咲いているらしいし。

メインストリート、混雑知らず。

抜けると、きれいな浜が!

六島の見どころを網羅した地図をいただきましたが、地図なしでも迷う心配はなし。なぜなら、島のいたるところで、ブイを利用したブイねこちゃんたちが道案内をしてくれるからです。

 こっち行きやー。

 あっちやで。

こちらでございます。

うふふふ。

これはリアルねこ。

表情がなんともかわいらしい。このブイねこちゃんたち、島のおっちゃんがせっせと作っているとのこと。なんという絵心!

「トトロのトンネル」を抜けて、



高台に登っていく間に、手作りの遊具が並ぶ公園を発見。せっかくなので遊んでみましょう。木のブランコ、楽しい!

ゆうぐをこわしてはいけません。

ここでも、ブイが遊具に再利用されています。ブイねこちゃんたちはかわいかったけど、人間になると、途端にシュール。

こわいよぅ...

そうこうしているうちに、六島のシンボル的存在の灯台に着きました!2月下旬ですが、水仙もまだまだ元気に咲いています。

優しくてとても甘い香りがします。

灯台から、島の最高峰大石山(185.5m)に25分ほどで登れます。ここの案内もブイにおまかせ。
ちょっとこわい...

登頂!

山を下りる途中に、小学校があります。現在の生徒数は5人。灯台に向かう途中、下校途中の2人の生徒とすれちがったのですが、「こんにちは!」ととっても元気にあいさつしてくれました。

校庭からの眺め最高。

海沿いの道を通って、六島の中心街へ。

でべらも日光浴。

ここには、島の人たちが集う社交場、通称「ドラム缶」と、島の商業を一手に引き受ける「前畑商店」さんがあります。


「通称」というか、まんま「ドラム缶」。背後の冷蔵庫は稼働中。時間が早いので、会合はまだ。ここで、さっきのでべらを焼いちゃうんでしょうね。


島唯一の商店の一押し商品は、六島特産、こりっこりのひじき!作り方は、島小屋を切り盛りしているりゅうちゃんのブログの、この記事で詳しくわかります。食べられるようになるまでには、たいへんな下準備がいるんですね。工程がわかると、ますますおいしくいただけそうです。

ではお散歩も終わったところで、島小屋に戻ります。こちらが大阪出身のりゅうちゃんこと、井関竜平さん。島に住むおばあちゃんのところに子供のころから遊びに来ていて、島の魅力にとりつかれて昨年移住。笠岡市の地域おこし協力隊員としても活動中です。


魚をばんばん釣って、さばいて、アラで出汁とって絶品磯料理を作る。すごい!何でもできる海の男!料理は昔から得意だったんですか?

「いやいや、ぼくねー、ここに来るまで、なんもできひんかったんですよー」

それが、島に住む粋な漁師の兄さんやおっちゃんたち、料理上手なおばあちゃんたちと生活していくうちに、いろんなことができるようになっていったそうな。生きた生活の術を身につけていくって、こういうことなのですね。

りゅうちゃんは今から7年前、お祭りの時期にこの島に来て、移住を決意したそう。

「六島回し神輿ってお祭りがあるんですけど、神輿回す人がほんまおれへんかったんですよ。こりゃ、どうにかせなーって思いましてね。孫ターンですわ」

島小屋には、誰もが気軽に集える共有スペース「寄合処」があります。夜はここで島のおっちゃん、おばちゃん、学生インターンさんと交流会。寄合処の一角では、六島まちづくり協議会やインターンの取り組みが紹介されています。島小屋は、たくさんの方の力の結集なのですね。


 全国の大学から、町づくりに関心のある学生さんがインターンにやってきます。

インターン生の力作。立体住宅地図!

そうこうしているうちに、島の方たちが寄合処にやってきました。


この「島の達人」を紹介するフォトブックもインターン生が作ったものですが、おお、掲載されている達人たちが、今目の前にいる!ブイねこ作者の達人も、もちろん掲載されています。

食事を待つ間、なぜか突然、手品大会やけん玉練習会があちらこちらで始まっております。

びんを倒さずにお札を引き抜け!
そこへ、

チヌの刺身、どーん!

チヌは2月と8月が一番脂がのっておいしい、とのことで、「二八のチヌ」と言われるそうです。ええ時に来た!

獲れたてのスズキのあらで出汁をとった鍋、ひじきの酢の物、あらの蒸し物、「亀の手」というフジツボの仲間の味噌汁と、海の恵みを存分に味わいました。
亀の手を初めて食べた人って勇気ある...

こんなんやからね(写真はフリー素材からいただきました)

人口が70人たらずという島の人たちは、毎日のように海辺のドラム缶に集まっては、飲んだり食べたりしながらいろいろなことを話すそう。密にコミュニケーションをとっていくなかで、何か困ったことがあれば、みんなで考え、島の外の人たちの力も借りて、より住みやすい島にしていく。

「過疎化している地域って、助け合いが必要とかよく言うじゃないですが。でもここは、そんなこと改めて考えなくても、昔からごく当たり前に、ごく自然にみんなが助け合ってるんですわ。ほんま、ええ島ですよ」

と、早く島に住みたくてしかたなかった、というりゅうちゃんは言います。おっちゃんたちもおばちゃんも、力持ちだし元気そう。これもきっと島の恵みのおいしいものをずっと召し上がっているから、というのもあるのでしょう。

翌日。

新鮮な魚の骨と鶏がらでスープをとった、店主渾身の特製島カレー。スパイスの香りがたっていながらまろやかで、コクがあってめちゃくちゃおいしい!

「春になったら、メバルの骨で作りたいんっすよね。メバルで作ったカレー、もう最高っすわ」

週末はカフェ営業もしているそうなので、週末に六島にいけば、このカレーを食べられます!

なお、島小屋さんに宿泊の場合は、基本的に素泊まり、自炊の料金設定ですが、自炊が困難な場合はお食事の相談もできるそうなので、事前にお問い合わせください。きれいに改装されているので、お部屋は快適だしお布団もふかふか、お手洗いもぴかぴかです。岩風呂もありますよ!

船の時間まで散歩。六島、笠岡からすぐ来られるのに、遠くまできたなーという旅の気分を味わえます。ドラム缶の集いに参加するのも楽しそう。

今日はまたいちだんといい天気。

周りの島がよく見えます。

昨日お世話になった方々。ずっと手を振ってくださいました。

お隣の真鍋島は「猫島」として知られていますが、六島でもかわいい猫にたくさん会いました。ずいぶん長くなってしまいましたが、最後に島猫コレクションを。

 色艶いいなあ。栄養がいいからかな。

ええポジションにいます。

 無防備。

見返り美猫。

個性的で温かい島の人たちに会いに、ぜひ六島に行ってみてください。島の詳しい情報、アクセスはこちら

りゅうちゃんが六島の日々をつづっているブログはこちら




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